謙虚の物語

最初、何も知らなかった人は世界のすべてを知っていた。(知らない事はなかった)
でも、何かを知った人は、より世界を知らなくなる。(もちろん知っている事は増えるが・・・)
つまり「知る事」により,「知らない事」は減じない。


それを避けようとして知らないフリなどしても無駄である。
知ってしまったのだから。


かといって、知っているフリをしても無駄である。
知らないのだから。


そこから逃げる事は出来ない。


最初の一つの疑問が芽生えた時点で、その迷路への道は開かれ、戻ることが出来なくなる。


ただ、人は、それ(疑問を持ちその迷路に踏み込む事)無しに生きることは出来ないだろう・・・きっと


一生をかけて、多くの「知らない」に出会い,蓄積していく。
そして、一生を終る時に、全ての蓄えた「知らなさ」を開放する。


「知ること」に喜びを感じる人は幸いかもしれないが、「知らないこと」に苦痛を覚える人には不幸かもしれない。
もし仮にこのようなチープな物語があったとしたら、これは不幸な事なのだろうか、それとも幸いな事なのだろうか。