偶然があるから...

「知らない」という領域に偶然があるように思う。
偶然のない世界にはもはや「意味」は存在しないのではなかろうか。
知っても知ってもその先には偶然が有る。
厳密に予期できないことが人には必要だ。
偶然があるから人は喜び、悲しみ、許せる。
そうなる事を何時も厳密に知っていたなら喜びも、悲しみも無く、ただ絶望しかないだろう。
全てを予期することなどできないのだから予期する意味が無いのでもなく、全てを予期できないのにそれを予期しようと「無駄かもしれない」努力をするのが良い。
世界が必然によってなされていたとしても、人がそれを知りえないというところが良い。
偶然が人を生かしてくれている。
ミクロに偶然があり、それでありながらマクロに必然が見え隠れする。
そんな不思議なバランスが人にやさしく、厳しく、生かしてくれる。
宗教でも哲学でもどんな形であれ、偶然のありかに目を向けさせ、それを「わきまえさせる」何かには魅力を感じざるを得ない。