GST

ココログに書こうと思ったけど調子が悪いのでこちらにUPします。(後で移すかも)


そういえば、カナダで税金(GST[Goods & ServicesTax:連邦消費税])が下がったと言うNewsがあった。
極東ブログさんでも触れていた
このGSTが導入(施行)された1991年にはカナダにいたので、この"GST"という言葉の響きは忘れがたい。
州税とは別に、それまで無かった物が一気に7%になるのだから(消費する側からは)一大事件だった。
しかも、一律ではなく対象によって課税の有無があったので、何が課税され,何が課税されないか、食品などでは何処からが加工品で何処からがそうでないのか等々(リテール側としては)その対応に追われたのを覚えている。


当時は(今は知らない)物価も高かった事もあって国境に近い町ではアメリカに越境して買い物に行く姿がNewsで取り上げられたり、私もアメリカへの短期旅行では必ず何かを買ってきた。


その一方で最低生活に必要な物に対する配慮はきめ細かく(それゆえに課税の有無の対応に追われたのだけれど)低所得者への影響を抑えた物になっていた。


当時(今は知らない)隣のアメリカに比較してカナダは物価(特に工業製品や加工品)も高く生活のし難さを想像してしまいがちだけれど、所得の少ない層への配慮、生活そのものへの配慮がそれを十分緩和していたように思う。


生活への配慮はいろいろな面にも現れていて、(私がいた州では)部屋を借りればキッチン、冷蔵庫、暖房設備などが付属した部屋も多く、大抵は家賃に水道代,電気代が込みであったりする。
一度自動車事故で数針縫ったときも(そのとき私はワークビザの外国人)治療費は取られなかった。(歯の治療には別途事業主が加入しているブルークロスと言う保険があった)
電話代ももちろん市内であれば何時間かけても一律等々、とにかく「生活そのもの」にかかる支出が日本のそれとはだいぶ違うことに驚いた。(ただし、電気代などは資源(石油)があることとも関係している点を割り引かなければいけないと思う。まあ,何処でも有利不利いずれもがあるので特別これを割り引く必要も無いとも思うが...)


物価が高いと言っても中身が違い、家賃を比較しても中身が違い、税率を問題にしても中身が違う。


人が「ただ生きていく事」に金がかからない国であるとはいえると思う。
だからと言って「お金を稼ぐ事」が否定的に扱われているわけでもない。
その事は人が安心して暮らせる(犯罪も含めて)ことにも繋がっているように思う。

政治が、と言うよりも社会の根底にそのような共通概念が共有されているのだと思う。


そんなカナダが好きだった。


とはいっても、こんな(カナダを好きな)理由はカナダに住むことになった後から「実感」した事で、私は既に入国時点でカナダを好きになっていたのだと思う。
(バイクにまたがり、穴の開いたジーパンと薄汚れたジャケットをまとった私は荷物を徹底的に調べられキャンプ用のストーブの中まで調べられたので入国審査そのものは散々ではあったけれど・・・)


カナダ入国前にバイクでアメリカの西岸都市に滞在しながら巡るのは「刺激的」だったし自然もカナダに負けない程豊かではあったのだけれども、シアトルからカナダに入った時のなぜか判らない「ホッ」とした感じが私のカナダ贔屓を決定付けたようにも思う。


いやいや、そこに行きたいと思っていた事自体が私の中に原初的に有ったのかもしれない。


ただ、それがそこを「体験」し「実感」してもなお、裏切られなかった事は結構、要(かなめ)だと思っている。






今の日本が置かれた状況を見ながら、経済の建て直し政策が必要不可欠であったとしても、少なくとも「ただ生きていく事」が補償される前提の上にそれがあって欲しい。


GSTのNewsを見てそんな事を思った。