それでも抵抗するよ
ひどい事件だよ。
涙が出たよ。
復讐の対象としての「社会」なんてあるのか?
恨みを晴らすべき対象としての「勝ち組」なんてあるのか?
貴方は「社会」に復讐もしていなければ、「勝ち組」に恨みを果たしてなどもいない。
殺害し、傷つけたのは「社会」でもなければ「勝ち組」なんかでもない。
貴方が傷つけたのは貴方と同じように悩みを抱え、日々を生きようとしている「人」であり、貴方自身じゃないか。
復讐するどころか貴方は貴方の本当の怒り・恨み・復讐の対象に「加担」しただけ。
貴方の行為によって生まれる貴方に対する「怒り」が、その「貴方の復讐の対象」をさらに揺るぎ無いものにするべく貢献しただけだ。
それだけだ。
私の中に湧き上がる「貴方への怒り」が私をもその共犯者にしようとする。
かつて貴方が何かに怒りを持ち始めた時のように。
ああ、確かにそれに抵抗するのは苦しいよ。
満足か?
でもね、私はそれでも抵抗することにするよ。